時々、スーパーマーケットへ行く。言うまでもなく買い物をしに行くのだが、最近スーパーマーケットが楽しいと感じている自分に気づいた。
タイムセールなど何かイベントがあるからでも名物店員がいるわけでもない。ただ陳列棚にある商品を見るのが楽しいのだ。
商品がそれぞれに『見てくれ!』と言っている。
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鮮魚コーナーは水族館か博物館にいる気分になったりする。秋刀魚を見て、こういう形をしているのか、とか、『秋刀魚』という漢字を頭に浮かべながら実物を見てはよく言ったものだなぁと感心したり。鰯を見て、意外と大きいな、水槽で飼うには無理だ、と思いながら小魚という認識が吹っ飛ぶ。
カップラーメンは面白い。パッケージを見ているだけで、美味しそうというよりワクワクしてくるのだ。デザインや書体、ネーミングを見ていると、各メーカーの苦心の痕が窺える。
無機質な会議室で大の大人が難しい顔をしながら、あーでもない、こーでもない、と言い合った末のものが目の前にあるのかと思うとクスッとなる。そして、いつしか
それらのカップラーメンが愛おしくさえ思えてくるのだ。
精肉コーナーでは鶏肉、豚肉、牛肉がさまざまな部位に切り分けられている。ムネやらモモやら、ロースやらバラやら、国産やら米国産やら。肉の色ってキレイだな、どんな牛や豚だったのかな、鶏ってマッチョなのかも、可愛かっただろうな、そう思いながら命を考えてしまい切なくなったり・・・。
それでも食べたいと思う自分の食欲を嫌悪して、そっとため息をついたりしている。
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もはやスーパーマーケットはただ買い物をする場所ではなく、悲喜こもごもが味わえるちょっとした劇場だ。